
私が北海道旭川で民泊を開業するにあたり、事前に水まわり系を一通りチェックしていました。するとかなりの部分で劣化が確認され水漏れ等のトラブルが複数見つかりました。そこで
- 温水洗浄便座
- キッチン混合栓
- キッチン下の水・お湯の配管
- 洗面台混合栓
これら全てを刷新した上で2024年7月末に開業しました。
しかし、このような対策を事前にしていたにも関わらず開業後間もない9月、ゲストに悪影響を与える水まわり系のトラブルが発生してしまいました。
トラブルの内容は「浴室だけぬるいお湯しか出ない」でした。浴室の混合栓は事前チェックでは問題なかったのでそのままにしていたのですが、このトラブルにより浴室混合栓も新品に交換しました。

この対策により水まわり系は全て新品に交換したことになり(と当時は思っていた)当面は安心できると考えていました。
ちなみに賃貸なのでこれらの費用はすべてオーナー負担です。設備の劣化による修理や交換等は基本的にオーナー負担であるというのが賃貸物件のいいところのひとつです。自分で物件を購入しリノベーションや原状回復していたら相当な費用負担になるでしょうし、経年劣化するものですのでいつかはまた刷新しなければなりません。それ以外にも保有であれば毎年固都税もかかります(その代わり賃貸だと家賃が発生しますが)。
このようなことから今は資産を極力持たない方針の下、賃貸での民泊ビジネスを行っています。
ゲストからのクレーム再発
ところが2025年1月下旬のとある日の夕方、ゲストから代行業者に連絡がありました。
「浴室だけぬるいお湯しか出ない」
キッチンからは熱いお湯が出るのに浴室はぬるいお湯とのこと。これは前回と全く同じ症状です。しかし、浴室混合栓も新品に交換したばかり。この手の設備がこんな短期間に故障することは一般的には考えにくいです。それでも真冬にお風呂に入れないのは最悪、しかもこのゲストは4連泊のため、とにかくすぐに原因を究明し対策を講じる必要がありました。
暫定対策を提案
まずは私がサクッとネットで調べたことを試してもらいたいと伝えました。それは
「給湯器の温度設定を上げる」
LIXILのサイトのとあるページにこんな記載がありました。
サーモスタット混合水栓は、湯水を混合するため給湯器の設定温度よりもぬるめの湯が出ます。給湯器の給湯温度が50~60℃で設定されているかを確かめ、設定されていないときは、50~60℃に設定してください。
確認してもらったところ、そのときの給湯器の温度設定は45℃でした。そこでそれを60℃に変更してもらったところ「熱いお湯が出るようになりました!」
これで一件落着。やっぱり混合栓には問題がないことが判明しました。おおごとにならなくてよかったです。
翌朝に問題再発
しかし、翌日の朝になって「また熱いお湯がでなくなった」との連絡が入ったそうです。ということは原因は異なるということ。そこで私は設備系の業者に連絡し、できるだけ早く現場に向かってもらうようスケジュールの調整を依頼しました。設備業者にはすぐに調整していただき、翌日の夕方に現場に行ってもらえることになりました。
ただ、設備業者が動けるのは翌日なのでゲストはこの日にお風呂に入れないことが確定です。そこで昨年のトラブル発生時と同様に代行業者からゲストへ近所の銭湯、温泉を案内してもらいました(その費用はもちろんこちらで負担です)。
原因が判明
翌日、設備業者による現場チェックにより今回の問題の原因がわかりました。それはこれ。

洗面所内にある
「洗濯機用の混合栓」
この混合栓には逆止弁がついていなかったのです。逆止弁とは、配管内での逆流を防ぐための部品です。これがないと水とお湯が混ざり合い、その先からはぬるいお湯しか出なくなってしまうのです。
ちなみに洗濯機用混合栓に不具合があるなど全く想定していなかったため、この混合栓は交換していませんでした。
古い物件における給湯器の配管は一般的にこんな感じになっています。

私の民泊の部屋の給湯系の配管はこの図とは逆に洗面所が手前、その先で浴室へ繋がっています。そのため、洗濯機用混合栓の両方の蛇口が開いているとこの混合栓を経由して冷たい水がお湯の配管に入り込み、その先にある浴室にはぬるくなったお湯しか吐水されなくなっていたのです。
実際、この洗濯機用混合栓のお湯側の蛇口を閉めただけで浴室から熱いお湯が出ることが確認されました。このことから実は昨年9月の問題も原因はこれだったと思われます。
たぶんゲストは前日、そしてこの日の朝に洗濯したのでしょう。その際に水とお湯の両方の蛇口を開けてぬるま湯で洗濯していたのだと思われます。そして前日は偶然にも蛇口を閉めた、しかし翌日は開けたままになっていたと想像します。
恒久対策
不具合の原因は浴室の混合栓ではないことが判明しました。また、この洗濯機用混合栓とて逆止弁がないのはそもそもの仕様であり不具合ではありません。となるとオーナーにこの混合栓も交換して欲しいとまでは言えないでしょう。
なので恒久対策は
「洗濯機用混合栓の蛇口を両方とも開けることはしない。仮にお湯で洗濯したいのであれば洗濯が終わったら蛇口を確実に閉める」
これを周知徹底するしかないと判断しました。
とりあえず原因究明と再発防止策はできたので、今後はオペレーションだけで対応できるようになった、現時点ではこれでよしとしましょう。