
私の立場
この問題に踏み込む前に、私自身の立場をはっきり述べておきます。
宿泊税には反対 (そもそも全ての増税に反対)
観光振興の名のもとに導入される宿泊税ですが、実態は宿泊者(=宿泊事業者)への単なる増税です。宿泊者に経済的な負担を増やす一方、その効果が本当に道民や事業者に還元されるかは不透明なままです。しかし、制度として決まった以上、納税はします。 法令に定められた義務である以上、個人的な反対意見で拒否できるものではありません。
だからこそ、一点だけ強く求めます。
徴税する以上、税の公平性を担保することは行政の義務
取る側が義務を果たさないまま、取られる側だけに義務を押しつける——それは制度として成立しません。
行政が認めた3つの事実
行政との長いやり取りを通じて、この問題の構造がはっきり見えてきました。一言で言えば
「取りやすいところから取り、面倒なところは放置する」制度
です。
① 選挙権のない道民以外の正規業者にも、有無を言わさず強制徴税 宿泊税の特別徴収義務は、北海道内で旅館業法の許可を取得して営業する事業者、および住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出を行って営業する事業者全員に課されます。道外・国外の事業者であっても例外ではありません。許可・届出を取得していれば有無を言わさず徴収義務が生じる。断る権限は事業者にありません。
② 違法業者の取り締まりは、ほぼしていないに等しい 違法業者の探知は通報や検索頼みの受動的な対応のみで能動的に把握しようとする仕組みは存在しません。そもそも違法業者が何件あるかすら把握できていません(行政の回答:「母数がなく評価が難しい」)。通報があって動いたとしても強制力はなく、できることは通知と行政指導だけ。従わない違法業者を実効的に排除する手段は制度上ほぼ存在しません。宿泊税導入後もこの体制を強化する予定は「現時点では答えられない」とのことです。
③ 違法業者は納税しなくても脱税にならない可能性がある 合法事業者が宿泊税を納めなければそれは脱税として問われます。しかし違法業者はそもそも特別徴収義務者ではないため、同じ「払わない」という行為であっても脱税として問えるとは限りません。合法であることがリスクを生み、違法であることがそのリスクを回避させる——この逆転した構造を、現行の制度設計は内包しています。
結局のところ、こういうことです。
許可・届出を取得して真面目に経営している正規事業者は、選挙権の有無や居住地にかかわらず強制的に徴税される。一方、無許可・無届けで営業している違法業者は、取り締まりもされず、納税もせず、脱税にも問われない可能性がある。
取りやすいところから取り、面倒な相手は放置する
それが北海道宿泊税の現実です。これを「制度の公平性」と呼べるでしょうか。
行政との対話は終了
前回の記事で、北海道の2つの担当部署(総務部財政局税務課・保健福祉部健康安全局食品衛生課)から「最終回答」を得たことを書きました。
その内容を一言で言えば、こうです。
違法業者への対策は何もしない。する予定もない。根拠も示せない
何度質問を重ねても、回答は毎回「個別対応します」「従来通りです」「現時点では答えられません」の繰り返しでした。質問をずらし、論点を流し、最終的には「権限がないから」と担当外に押しつける。
私はこれ以上、行政との文書のやり取りに意味を見出せないという結論に至りました。
担当部署には、この問題を解決する権限も、意思も、制度的な仕組みも存在しない
それが明らかになった以上、話す相手を変えるしかありません。
なぜ議会なのか
行政(各担当部署)は与えられた権限の範囲で動く組織です。「課税公平性を誰が担保するか」という制度横断的な問いに答える立場ではない、という現実を今回のやり取りで嫌というほど確認しました。
翻って、宿泊税条例を議決したのは北海道議会です。制度を生み出した側にはその制度が適切に機能しているかを検証する責任があります。行政が「権限外」と言い続けるなら、その権限の範囲を決める立場に直接問えばいい。それが議会です。
北海道議会に陳情書を提出
ということで、旭川市にやったことと同様に北海道議会にも陳情書を提出しました。
陳情の要旨は以下のとおりです。
北海道宿泊税は、旅館業法の許可事業者および住宅宿泊事業法の届出事業者にのみ特別徴収義務を課す制度です。この構造において、無許可・無届けで営業する違法業者は課税対象の外に置かれます。結果として、合法的に経営する正規事業者だけが課税と規制の双方を受ける一方、違法業者は課税も規制も免れる——競争条件の著しい不均衡が生じます。
さらに、宿泊税は北海道議会が条例として制定した制度です。制度の運用において税の公平性が確保されているかを検証する責任は、条例を制定した議会にあります。
正規事業者のみが徴税義務を負い、違法業者が課税網の外に残存し続ける状況は、実質的に選別課税に近い状態となります。これは税制度の公平性と信頼性を損ないます。
以上を踏まえ、陳情書では次のことを求めました。
- 違法宿泊営業の把握および排除体制の強化
- 監視手法の強化
- 制度上の課題の検証と必要な制度的措置
議会への陳情がどう扱われるか、進捗があればこのブログで随時報告します。
陳情が議会で取り上げられ、審議の場で正面から議論されることを求めています。行政が「答えられない」と言い続けた問いを、条例を制定した議会が正面から受け止めるかどうか——それを見届けます。
合法的に経営する事業者が、違法業者と同じ市場で競争しながら税負担だけを一方的に負う。この不公平を「仕方ない」と受け入れるつもりはありません。


