
携帯電話の電話番号をそのままに、別の携帯電話会社に乗り換えることができる制度であるMNP (Mobile Number Portability)はとても有名ですが、実は固定電話も同じ電話番号のまま他社に移動できること(LNP:Local Number Portability)はあまり知られていません。2025年1月からは双方向の番号ポータビリティが導入され、サービス事業者を乗り換えてもほとんどの固定電話番号が同じ番号を引き継げる対象となりました。そこでオフィスの引っ越しに伴い、この制度を利用してオフィスに固定電話も設置しようと考えました。
使わなくなったイエデン
固定電話「イエデン」に関しては、私が学生時代に一人暮らしをはじめたときですから今から約40年前に契約した私名義の回線がひとつあります。当時はスマホどころか携帯もない時代(ポケベルは単に鳴るだけのものならあったかな?)、イエデンは重要な双方向コミュニケーションツールのひとつでした。その後、引っ越しする毎に電話番号は変わってきたものの、現在の番号になってから既に30年近く経っています。
しかしながら時代は一家に1台の電話ではなく一人に1台のスマホ。もはや「イエデン」は無用の長物であり、かかってくるのは迷惑電話ばかりです。なので最近では電話がかかってきても取ることはなく留守電で対応、こんな状態なので正直もうイエデンは要らないとすら思っています。
そんなときに偶然知ったLNP。だったらこの制度を利用して新オフィスに固定電話を導入してしまおうと考えました。ミソは「同じ電話番号であること」。自宅で長いこと今の電話番号を使っているので、もしかしたらこの番号しか知らない親戚や友人等からの連絡があるかも知れない(たぶんないけど)ことも考え、電話番号を引き継ぎつつ、かつ新オフィスにおいて対外的にそれなりに意味のある「固定電話番号」を持とうと考えました。
LNPの段取り
インターネットのための光回線に固定電話サービスを付けるなら簡単だったのですが、新オフィスのネット回線は光回線ではなくホームルータです。
しかもドコモのHR02に楽天SIMという変化球。となるとLNPの候補となるサービスは「03plus」と「homeでんわ」ぐらいしかありません。
実は「03plus」は以前に法人として数ヶ月利用したことがありました。しかし、当時はアプリに問題があったのか?通話がとても不安定だったためすぐに解約しました。
「03plus」でLNPを利用した場合の初期費用は8,800円(03plus初期費用:5,000円、番号移転初期費用:3,000円、+消費税)、月額費用は2,618円(基本料(基本ID):1,280円、番号移転利用料:1,100円、+消費税)。正直なところ、特に月額費用がかなり高く感じます。
対して「homeでんわ」。こちらは初期費用4,400円(契約事務手数料:2,200円、番号継続登録料:2,200円)、月額費用は1,078円なのですがドコモのスマホとのセット割で550円となります。この比較から「homeでんわ」に軍配を上げるのは当然の判断でしょう。
ただし「homeでんわ」を利用する場合には別途専用ハードである「HP01」が必要となります。HP01は3年利用で実質タダになるプランが使えますし、メルカリやヤフオク等で中古品を購入することも可能です。
また「homeでんわ」は契約時に登録した設置場所でしか使えないという縛りがあります。

最終的に私がまとめたプランは
- 専用端末HP01はメルカリで購入
- まずは自宅の住所でhomeでんわにLNP
- LNPで開通後、オフィスに住所変更
トラブル発生
専用端末HP01はメルカリで調達しました。

中古ではあるものの安価かつ契約期間に縛られないのが魅力です。ハードは中古で調達したのでドコモとの契約はSIMだけです。

申し込んでから約2週間、無事に同じ電話番号で開通しました。これを受けて住所変更の手続きを行うべく、すぐにまたドコモショップに向かいました。しかしそこでトラブル発生。
「免許証等の本人確認資料に記載されている住所以外への設置はNGです」
いやいやいや、そんなこと、どこにも書いてないし契約時にも一切説明されていないじゃん!上記の資料のとおり、重要事項説明書には「登録した設置場所住所でしか使えない」としか書いてないし、契約時に「すぐに住所変更するからまた手続きに来る」と言った際にも何も注意されなかったし。
そこで今一度、まずは経緯と事実を確認してもらいました。その数日後「詳細の説明ができていなかったことは対応したスタッフから確認できました(スタッフも設置場所住所の概念を把握していなかった)」「資料にも一切書かれていないことも確認しています」とのこと。
これを受けて私からドコモに以下の要求を突きつけました。
- どこにも明記されていないルールならそんなことは無視して住所変更を認めろ
- 法人契約ならどこにも設置できるようなので法人契約に無償で切り替えろ
- クーリングオフして元に戻せ
結論
約1週間、ドコモ内で検討してもらいました。その結果
- やはり住所変更は認められない → SIMを使ってのサービスなので厳格な本人確認が求められている模様
- 法人契約に切り替えることは可能なのだがその際はLNPが使えない → それじゃ意味がない
ということから「クーリングオフ」となりました。
約3週間、不毛な活動をしてきたことになりました。かかった費用、そして元に戻す費用はクーリングオフの対象として全額ドコモが負担してくれることになりました。ただ、中古で調達したHP01までは面倒を見てくれないので仕方なくメルカリに再放流しました。
そしてLNPは一旦諦め「自宅にかかってきた電話は受話器を鳴らすことなく無条件に携帯に転送する」オプションを利用することにしました(最初からこれでよかったのでは???)。
紆余曲折はありましたが、何とか新オフィスに固定電話を導入できまし、た?(自宅にかかってきた電話を100%転送)。