大家業≠不労所得

2020年2月25日

大家のなり方

とっても簡単です。だれもが収益用不動産(賃貸物件)を購入してその不動産を貸せばそれで「大家さん」の一丁上がりです。そこに条件や資格は一切ありません。

ただし、物件を買うだけの資金力だけは必要です。ただ、その資金は何も手持ちのキャッシュだけである必要はなく、融資を受けて購入しても問題ありません。というより普通は融資を受けて購入します。その融資を受けるとなると資金力というよりは信用力が問われることになります。

宅建士の資格不要の不動産業

私は2010年8月に1棟マンションを購入し不動産業として個人事業主を立ち上げました。しかしながら、当時も今も宅建士の資格は持っていません。

不動産の売買や賃貸の契約の際に必要となる資格「宅建士」。しかし、その資格が必要なのは他人物の売買や賃貸の場合のみ、すなわち自己所有の物件の賃貸や売買には必要ありません。大家全員にその資格が必要なら昔ながらの地主大家も含めて全てが保有していなければならなくなってしまいます。

それでもないよりはあったほうがいい、将来的には他人物を扱うかも知れない、何より業界への就職にも有利なのでいざというときのために、と私も過去に2回ほど試験にチャレンジしたことがありました。しかしその2回ともわずかに得点が足りず、、、で現在に至っています。

不動産業って儲かるの?

不動産は儲かるイメージを持っている方も多いかも知れません。

投資家の利益率は年5%程度と言われています。それに対して投資用不動産として売られているものはエリアや規模、築年数にもよって千差万別ですが、、、仮に10%としましょう。

5%と10%なら「やっぱり不動産のほうが儲かるじゃん」と思われがちですが、実際にはその他のコストも重くのしかかる、さらに不確定要素もあるのが不動産業なのです。

レバレッジ

仮に1億円の物件を買う際、1億円の現金を持っていたとしても全額使って買うような人はまずいないでしょう(実際には1億円の現金を持っているような人は1億円の物件なんて眼中にありません)。

ざっくりですが1億円の物件を購入するには自己資金2000万円ぐらいあれば可能です。このように自己資金を頭金にして融資を受けて資金を調達することができる=レバレッジを効かすことができるということが不動産売買の大きな特徴でありメリットでもあります(=リスクでもあります)。

収益性

「融資を受けて買ったら元金+金利だって払わなきゃならないじゃないかっ!」

そのとおりです。なので金利を払ってでもメリットがなければ意味がありません。

簡単に計算するために諸経費等は一切無視しますが、仮に自己資金を2000万円持っているとします(そんな人はなかなかいませんが)。そこに売価2000万円、満室想定利回り10%の不動産をキャッシュで購入した場合を考えてみましょう。ローンは使っていないので返済はなし、2000万円で10%なら年200万円の家賃収入が見込めます。

対して自己資金2000万円+融資8000万円で1億円、利回りは同じ10%の物件を購入した場合、家賃収入は年1000万円となります。ただし、ここからローンの返済をしなければならないのですが、8000万円を金利2%、20年で返済する場合、年間の返済額は約480万円です。となると家賃収入1000万円-返済480万円=520万円となります。

自己資金100%で安い物件を買うより、レバレッジを効かせてより高額な物件を買ったほうがより多くの利益が見込める、それが不動産投資・不動産事業なのです。

ただし、見込みであって確定ではありません。もし確定なら誰でもできちゃいますよね。そうならないから難しくもあり、腕の見せどころでもあるのです。

利益は入居率が全て

不動産業(大家)にとってのお客さんは入居者(店子)です。店子を見つけ家賃を受け取らないことにはローンの返済もできませんし利益も生まれません。部屋に空気を埋めているだけでは1円にもなりませんので当然ながら日々営業活動をして店子を見つけてくる必要があります。

しかし昨今の環境は

  • 近所に毎年のように新築がポンポン建つ
  • 当然ながらこちらは1年ごとに築年数が古くなる
  • 全体的に家賃が低下傾向
  • 少子高齢化により需要も変わってきている

毎年1年ずつ築年数が積み重なっていく自分の物件が、新築で設備が最新、駅近、広い、天井が高い等々の魅力的な物件と毎年のように戦い続けなければならないのです。

言ってみればこちらは昔ながらの商店街の中の小さな個人経営店。その近くにコンビニ大手チェーン店が毎年のように進出してくる、そんな戦いのようなものです。

個人経営だからこそ自分の判断で

そんな環境下での私の戦略はできるだけ同じ土俵に上がらない(差別化)ということを意識しています。

新築物件との生きるか死ぬかの戦いをしながら常に満室を維持するということはなかなか簡単ではありません。実際、100%満室であり続けるのは不可能ですので、ある程度掛け目を入れた計算が必要となってきます。100%は無理としてもより100%に近づけるための戦略と行動、そこが肝になってきます。

一番簡単な戦略は家賃を下げることですが、、、それってもはや戦略ではありませんよね。価格勝負は体力(耐力=資金力)を奪われ、最終的には資本力の大きなところが勝つだけです。このような愚策はできるだけ避け、使うにしても一時的や最後の手段にすべきです。

また、家賃を下げると店子の属性も下がるものです。安い家賃の部屋には民度の低い方が入ってくる可能性も高くなるので、やはり安易な値下げは避けるべきだと思います。

差別は例えば部屋のレイアウト、床の材質、壁紙の色、個性的な設備等々、いくつでも考えられます。しかもその全てを自分で決断できるのです。ここが大家、オーナー、個人事業主、社長の強みです。

経営のための経費

営業活動の結果、何とか高稼働率~満室を維持し続けていたとしても、毎年様々な経費がのしかかってくるため、お金が飛ぶように財布から出ていきます。

ローン返済

一番大きい(重い)のはこれでしょう。多くの不動産経営者はその物件を購入するのに全額キャッシュで買うなんてことはほぼ不可能。上記の例の場合、自己資金2000万円で1億円の物件を購入するなら単純計算で8000万円の融資を受ける必要があります。

8000万円を金利2%、20年で返済する場合、月々の返済額は約40万円

利回り10%で年間1000万円の家賃収入となると月額は約83万円です。ここからローンを返済すると残りは43万円となります。

ただし!これはあくまでも常時満室の場合です。稼働率80%だと家賃収入は年間800万円→月額67万円、ローン返済後の手残りは27万円、ここまでくると正直もう余裕は感じられない数字となってきます。

税金

不動産業は税金との戦いでもあります。購入時には不動産所得税がかかりますし、さらに毎年固定資産税と都市計画税(合わせて固都税)、そして最終的に売却して利益を出せば所得税(+住民税)が追加で発生します。

その固都税、同じ1億円の物件であっても地域や物件の規模によって大きく変化しますが50万円~100万円、月で割れば4.2~8.3万円ってところだと思います。

管理費

多くの場合、地域の不動産業者に物件の維持管理を依頼し管理費を支払うことになります。最近の私は自主管理のみなので今の相場感がよくわかりませんが、家賃収入の2~5%ぐらいかと思います。

修繕費

エアコンや給湯器はなぜか不思議と定期的に壊れます。また、雨漏り、漏水、混合栓の不調、圧力ポンプの故障、、、毎年何かしら問題が起こるものです。都度修理するしかありませんがその費用もバカになりません。

入退去に伴う原状回復費

入居したまま10年以上ずっと住んでくれるならいいのですが、実際には年単位で入退去が発生します。都度現状回復をするわけですがその費用の大半は大家負担です。簡単な清掃だけでも数万円、リノベーションするならうん100万円の世界となることも珍しくありません。

大規模修繕

修繕は何も入退去のタイミングや不具合があったときだけではありません。逆にそれらは突発的なもの、それよりももっと重要なのがこの大規模修繕です。これを定期的にきっちりやるからこそ、適切な物件の維持管理ができ、しいては入居率を維持したり最終的な売却の際の価格にも関わってくるのです。

基本的には10年~15年ごとにやらなくてなりません。やる内容は

  • 屋上や共用部の防水
  • 外壁塗装・修繕
  • その他、このタイミングで直したり工事したり

物件の規模にもよりますがウン100万円単位となりますので計画的な積立が必要です。

分譲マンションに住んでいる方はおわかりかと思いますが「修繕積立金」はこのために集められています。賃貸物件の場合は大家が負担するしかありません。ただ、負担と言っても回収した家賃の中から出すものなので厳密には負担ではないのですが。

客付けに伴う仲介手数料

自らジモティ等の無料サイトを使って客付けするなんて人はほとんどいない(いてもあまり効果がない)と思います。通常は管理会社経由で地元の客付け業者を使って入居者を探してもらうことになりますが、その成約手数料として家賃の1ヶ月~2ヶ月分を払うことになります。

その他

エレベータがあれば毎月数万円の電気代がかかりますしさらに年1回の法定点検もあります。また、一定規模以上の受水槽があればこちらも年1回の法定点検があります。そして一定規模以上(床面積500m2以上だったかな?)のアパート・マンションであれば消防設備の法定点検、こちらは年2回あります。

点検はもちろん有償ですし、何か交換するとなるとその費用も当然かかってきます。特に怖いのはエレベータですね。古くなって交換ともなれば2000万円とかのオーダーになってしまいます。

さらに家賃滞納、ゴミ屋敷化、ペット問題等々、不安なんかいくらでもあります。そして最後に事件・事故。こんなの防ぎようがありませんが何らの血を見るよう事件が発生した場合はもう、、、。

減価償却

今までは出ていくお金の話しばかりですが、こちらは経費として参入できる数字となります。ここが不動産のマジックであり最大の魅力でもあります。

結論

どうでしょう、儲かるイメージが浮かんだでしょうか?

もちろん、きちんと計算し「これならイケる!」という物件であれば利益は出ると思いますし、レバレッジを効かせている分だけリターンも大きいことは認めます。が、逆にレバレッジ分だけハイリスクハイリターンに近いとも言えます。

そもそも不動産の価格に定価は存在しません。毎年、公示価格や路線価等、行政から発表される数字もありますが、あんなものは参考材料のひとつにしかなりません。

実際の取引は

需要と供給のバランス

で価格は決まります。

供給が多ければ価格は下る、需要が多ければ上がる、資本主義の社会の中で当然のことです。ということはすなわち価格は水ものということです。そんな大きく変動するものに対してレバレッジを効かせてしまうと、株の信用取引同様、最悪の場合は担保割れになります。

ちなみに住宅ローンを使ったマイホームの購入はハナから担保割れなのですが、、、そこは今回はツッコみません。

色々なリスクがあるのは何も不動産に限ったことではありませんが、トラブルをミニマイズするために事前の情報収集は必要かと思います。

少なくても

決して不労所得ではない

ということだけは言えますし、額が額だけに事前にある程度は勉強し物件を見極める力を養って下さい。

私が考える不動産業の立ち上げ方法はこちらに書いています。