シニアの副業・起業:ギグワーカーの沼

2020年5月5日

ギグワーカーとは

まずは最近よく耳にする機会も増えたこの言葉の定義から。

ビジネスマッチングサイトなどを活用し、やれる仕事を選びやりたい時間だけ働く、そんな働き方をしている人たちをギグワーカーと呼んでます。

フリーランスもほぼ同義であり明確な線引はないように感じます。強いて言えば

ギグワーカー:数10分単位からの短時間の単発業務の受注

フリーランス:数時間から数日単位の業務の受注

この程度の差だと私は感じています。

今回は趣旨的にフリーランスも含めてギグワーカーという表現で統一します。

人によっては「フリーランスは時間で拘束される」という表現をしている人もいますが、それは必ずしもではありません。

決められた期日までに求められている結果を出せば時間の拘束を受けない仕事も多々ありますので拘束という表現は違うように感じます。

ギグワーカーのメリット

柔軟な働き方ができる

自分のスキルや時間にあわせて様々な仕事をすることができます。代表的な働き方としてはやはりUber Eatsがわかりやすいですね。

週7で働く、ランチタイムとディナータイムだけ、仕事終わりの夜だけ、週末だけ、天気がいい/悪いときだけ、、、

自分の都合に合わせて好きなときに好きなだけ

これが典型的な例だと思います。

こんな自由な働き方ができることから副業としても有用です。

仕事量(=収入)のコントロールができる

アルバイトやパートと違って時給x時間という決まった報酬ではありません。

ギグワーカーの報酬は時間、地域、プロモーションによって異なるため、確約されているものではありません。フルコミッションや成果報酬としてやった分だけ報酬が増える体系であることが多いため、仕事量に比例して収入の期待値が増える仕組みです。

収入を増やしたい日、週、月はガッツリ取り組み、そうでないときはのんびりやる、そんなことが可能な働き方です。

ギグワーカーのデメリット

単価が安い

単価としては一見高いように見えてもその中には保険や経費などが含まれていません。また単発の業務であるため継続的に仕事が受けられる保証もありません。

結果として月で締めてみると狙っていたより少ない、ということも十分にあり得ます。

報酬は決して高くない(非効率)

レバレッジが効かないことから収入はどこかで頭打ちになります。それもそれほど高いものではなくそこそこで、です。

1日8時間以上x週7で働けば60万円ぐらいまでは目指せるかも知れませんが、そこまでフルに働いてのこの収入は決して高いものではありません。

しかも、ここから保険や年金等も支払わなければならないのです。

収入が安定しない

基本的に単発の仕事を請け負うことになるため、仕事が無くなれば収入も無くなってしまいます。

また、事故や怪我などで仕事ができなくなると収入が一気に0になってしまいます。

心と身体の負担が大きい

毎日、毎週、毎月、このような仕事に従事し続けてしまうと心も体も余裕がなくなってしまいます。それでもそこまで働かないと一定以上の収入を確保できない、という不安からやらざるを得ません。

人間ですので体だけでなく心が不調なときもあるでしょうし積み重なった疲労も無視できませんがついついやってしまい知らず知らずのうちにストレスが積み重なっていくものです。

公的な手続きは全て自分で

健康保険、年金、確定申告、その他の手続きは全て自分でやる必要がありますし、得られた収入から支払うため、結果としての所得はそれほど多くない場合も十分にあり得ます。

最大の問題は底なし沼

参入障壁が低く、やった分だけ確実に報酬を得られることから気軽にはじめることが可能です。やった分だけ収入アップも目指せる、そしてシニアからでもはじめられるとしてこれを本業として捉えて携わっている方も多数います。

しかし、副業ならまだしも本業としてこの働き方にコミットしてしまうことは相当危険であると私自身は感じています。

これは正に底なし沼なのです。一歩足を踏み入れてしまうと

この沼から抜け出すことが難しい

レバレッジが効かない

労働の対価として報酬を得る仕組みでありレバレッジが全く効きません。1の労働力の提供で1~1.5の報酬を得ることは決して効率的ではありません。

貧乏暇なし

働き続けないと収入が途絶えてしまうため休むことに対して後ろ向きになり、常に働き続けることになります。その結果、時間的にも精神的にも全く余裕がなくなってしまいます。

この環境では正しい判断ができない恐れがあります。

貧乏暇なしとはよく言ったものですが、収入に余裕がある人ほど時間にも余裕があるものです。次のチャンスが目の前に出現したときにすぐにアクションできる、そんなポジティブスパイラルの中にいます。

底なし沼から抜け出すために

一時的にオーバーワークになるかも知れませんが

  • 少なくても2、3ヶ月分以上の収入を一旦確保
  • ギグワーカーという働き方を休み(または控えめにして)
  • 他の収入源を確保する準備・具体的な行動を進める

必要があると考えます。

ある程度の額を確保しておかないとまとまった時間が取れず、結局毎日ずっと働くことになってしまいます。それではなかなか次のステップに進めません。

ギグワークを続けながら新しいことにも並行してチャレンジするという考え方もありますが現実的には相当難しいと思います。

今日明日すぐにお金にならないことを並行してはじめてもすぐにモチベーションが下がってしまうこと、それは私が体感しています。

残念がら本業としてギグワーク・ギグワーカーを一生続けることは相当難しいと思われます。体力、気力、病気、事故、、、突発的にできなくなる前に見極めをつけ、次の準備を進めることが重要だと考えます。

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