【交通違反】警察庁からの回答

警察の不当・不法な交通違反の取締りを2回受けたことにより免停処分に至った私。私はその処分を不服として東京都公安委員会に対して処分の取り消しを求める審査請求を申し立てました。しかしその結果も明らかに不当な裁決「棄却」でした。

東京都公安委員会が設置した交通規制標識の不当・違法性を問うているのに、その交通規制標識に基づいた警察の取締りの是非をすらも公安委員会が審査庁となって判断する、こんな茶番は許されないとの思いから裁判で白黒はっきりさせたいと考えました。しかし得られるメリットに対してかかる工数や費用が全く見合わないのが行政訴訟。そこで、裁判費用をクラウドファンディングで集めたいと思い活動してきたのですが、、、それもあえなく撃沈しました。

政治力を使って質問

とは言え、こうなることは事前に想定できていました。そこで、これとは別ルートでも活動を続けていました。それが国政政党であるNHK党の浜田聡参議院議員が広く国民に門戸を開けている「諸派党構想政治版」。

私自身、過去に何度かこの制度を利用させていただいたことがあります。この制度に関してはNHK党の浜田議員のブログなどをご確認下さい。

官公庁へご意見・ご要望を送りたい方へ ※2022年5月16日追記事項あり

通常、各省庁の対応に不平不満、問題があるとして個人が対象の省庁にクレームや質問を送ったところで何ら反応がないことが普通です。仮にあったとしても「貴重なご意見ありがとうございました」。

対してこの制度を活用させていただくと確実に回答が届きます(内容はともかく)。そこで今回も浜田事務所に相談したところ、すぐにご対応いただけました。

警察庁に質問を送ってから約1ヶ月後、回答が届きました。

質問と回答

質問1:交通規制標識設置の法的根拠

各都道府県の公安委員会が公道に交通規制標識を設置するにあたっては警察庁の定める「交通規制基準」に準拠しなければならないと理解しているが正しいか?また、この交通規制基準以外の例外規定はあるか?

質問2:交通規制基準を満たしていない交通規制標識の有効性

過去の判例からも法的根拠を伴わない交通規制標識は無効であると受け止めているがこの理解は正しいか?
他に例外規定等があるか?

回答:道路標識等の設置による交通規制は、公安委員会等の意思決定に基づき、法令の定める種類・様式の道路標識等を、法令の定める方法によって設置し、法令の定める機能等を保持していることにより、効力が発生します。また、道路標識等は、法令の根拠に基づいて適確に設置する必要があります。なお「交通規制基準」では、都道府、 県公安委員会等が道路交通法(昭和35年法律第105号)、道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)、道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)及び道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和35年総理府・建設省令第3号)の規定に基づいて道路標識等を設置し、及び管理して交通規制を行う場合の一般的基準を定めています。

霞が関文学でわかりづらいですが、大枠では「そのとおり」と受け止めます。

質問3:交通規制標識の遵法性

現時点において東京都内(一定区域内でも可)の公道に設置されている交通規制標識において交通規制基準を満たしている(満たしていない)と確認できているものはいくつあるのか?

回答:お尋ねの件について警察庁では把握しておりません。

だと思いました。聞くなら警視庁、または東京都公安委員会でしょうね(東京の場合)。ただ、その問い合わせルートがありません。

アホみたいに規制があるでしょうが、警視庁がその全てを把握しているとは思えませんし、その全てが交通規制基準に準拠しているという保証もないでしょう。東京都公安委員会や警察の言い分は当然ながら「交通規制基準に準拠している」と言うでしょうが、裁判に持ち込めば「不当」と判断されるものも多々あると思います。

質問4:法的根拠を伴わない規制標識を前提として取締りの有効性

私が主張する不当な取締りのうちの1回においては、現場で取締りを行っていた2名の警察官はその取締りの正当性や法的根拠を全く把握していなかった。私はそれを不服として取締り後すぐに所轄の警察署に赴き、その取締りの正当性、法的根拠の説明を求めたが、その場を担当された上司と思われる警察官からは「この場で法的根拠を示す必要はない」と説明を拒絶された。所轄の警察官は、その取締りの正当性や法的根拠を把握している必要はなく、取締りを受けた運転者に説明する義務もない、というのは正しいか?

回答:取締りを受けた運転者から、取締りの現場において、規制標識に関する法的根拠についての質問を受けた場合には、一般論として、道路交通法(昭和35年法律第105号)等に基づき公安委員会が設置している道路標識である旨を説明することとなります。

本来は説明しなければならないということでしょう。ただ、説明されるとしても「道交法違反」だけであり、その前提となる交通規制標識の不当・違法性に関しては現場の警察官ではわからないでしょう。だって現場の警察官は「そもそも正当・適法として設置されている」という前提で思考停止し「その場を取り締まることが目的」ですから。

質問5:不当な取締りにおける反則点の加点

不当な取締りであっても行政処分の前提となる反則点が迅速に加点される現状制度の正当性は?

回答:違反点数の登録については、「「点数制度による行政処分事務に関する事務処理要領」の改正について」(平成30年10月30日付け警察庁丙運発第62号)の第3に以下のように規定されています。
【通達抜粋】
第3 違反等登録
1 略
2 違反等登録審査
違反等登録審査官は、警察署長等から送付された行政処分関係書類に係る交通違反及び交通事故が違反等登録の対象になるか否かを審査し、当該交通違反又は交通事故が点数評価の対象となるものであるときは、当該交通違反又は交通事故の事実認定が適正に行われており、かつ、事実の証明が十分であるかどうかについて審査するものとする。(以下略)
3 違反等登録除外
違反等登録審査官は、行政処分関係書類に係る事案について違反事実の不存在若しくは事実誤認があると認めたとき等は、当該事案を違反等登録から除外するものとする。(以下略)
4 違反等登録の迅速処理
違反等登録審査は、行政処分関係書類の点検の終了を待って直ちに行い、審査のために違反等登録に遅延を来たすことがないようにするものとする。
(以下略)
上記通達の第3の3のとおり、違反事実の不存在又は事実誤認があると認められる場合等は、違反点数を抹消することとしており、違反点数が抹消される事例としては、例えば、公安委員会の意思決定がなく道路標識として効力がない状態で取締りをした場合等があるものと承知しています。

要するに「交通規制標識は正しく設置されている前提であり警察が取り締まったものは全て正しい」ということなんでしょう。

質問6:交通規制基準の文言の解釈(その1)

交通規制基準において「第4章 交通規制の実施基準及び道路標識等の設置基準」→「第3 指定方向外進行禁止」の項目には以下の記載がある。

設置場所:車両の進入を禁止する交差点の手前における左側の路端若しくは中央分離帯若しくは当該交差点に係る信号機(車両に対面するものに限る。)の設置場所又は車両の進行を禁止する場所の前面

この表記から判断するに、これらの設置場所の指定は車両の進行を禁止する交差点・場所に侵入する直前に運転者がその規制標識を目視確認できることを意図していると理解するが正しいか?

質問7:交通規制基準の文言の解釈(その2)

上記質問6との整合性の確認。
車両の進入を禁止する交差点の手前における左側の路端の手前5mに交通規制標識を設置することはこの基準を満たしているか?手前10mは?15mは?何m手前までが準拠していると判断されるのか?

質問8:交通規制基準に記載されている文言の解釈(その3)

車両の進入を禁止する交差点の手前における左側の路端や車両の進行を禁止する場所の前面に交通規制標識が設置できるにも関わらずそれらの地点には設置せず、車両の進入を禁止する交差点の手前における左側の路端の手前数mにのみ設置していることは交通規制基準を満たしているか?

回答:道路交通法施行令第1条の2では「道路交通法第4条第1項の規定により都道府県公安委員会が信号機又は道路標識若しくは道路標示を設置し、及び管理して交通の規制をするときは、歩行者、車両又は路面電車がその前方から見やすいように、かつ、道路又は交通の状況に応じ必要と認める数のものを設置し、及び管理してしなければならない。」と定められています。
また、お尋ねの「指定方向外進行禁止」の道路標識の設置場所に関しては、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令別表第一では、「車両の進行を禁止する交差点の手前における左側の路端若しくは中央分離帯若しくは当該交差点に係る信号機(車両に対面するものに限る。)の設置場所又は車両の進行を禁止する場所の前面」と定められているとともに、「道路の形状その他の理由により、道路標識をこの表の設置場所の欄に定める位置に設置することができない場合又はこれらの位置に設置することにより道路標識が著しく見にくくなるおそれがある場合においては、これらの位置以外の位置に設置することができる。」と定められています。
都道府県公安委員会等では、個別具体的な道路交通環境に応じて、これらの法令に基づいて、道路標識等を設置し、及び管理して交通規制を実施しているものと認識しております。

「これらの位置以外に位置に設置することができる」として私の質問である「5m、10m、15m」さらに「進行を禁止する場所の前面」には直接回答しない、行政の典型的な論点ずらしです。

質問9:データ

東京都公安委員会における2021年(年度でも可、ない場合は最新のデータ)の行政処分件数、その中から審査請求を受けた件数、その結果(審査中含む)は?

回答:東京都公安委員会又は警視総監による令和3年中における運転免許の行政処分件数は、取消処分が1,891件、停止処分が23,911件となります。
東京都公安委員会における交通関係の審査請求の件数は下表のとおりです。

認容0

これが公平性や客観性が担保されていないことを物語っていますね。公安委員会が審査庁となっている時点で期待できないと思っていましたが実際にそうでした。それにしても0とは。

質問10:公安委員会に対する審査請求における問題点

公安委員会による行政処分を不服として審査請求を申し出た場合、審査庁が各都道府県の公安委員会であることは客観性や公平性の観点から大きな問題があると考える。そもそも交通規制標識を設置しているのも行政処分を下しているのも公安委員会であることから公安委員会は処分庁のはずであり、この場合の最上位行政庁は各都道府県庁や国家公安委員会であると考える。

さらに第三者機関が諮問しないことも問題である。処分庁が審査庁として裁決を行う、しかも第三者機関が諮問しないこのスキームを是とする法的根拠を明らかにせよ。

回答:行政不服審査法(平成26年法律第86号。以下「法」といいます。)第4条は、処分庁等に上級行政庁がない場合等には、当該処分庁等に審査請求をするものと定めています(第1号)。
一般に、法において「上級行政庁」とは、当該行政事務に関し、処分庁等を直接指揮監督する権限を有する行政庁をいうものと解されていますが、道路標識の設置等の事務に関し都道府県公安委員会を直接指揮監督する権限を有する行政庁はありません。
また、法第9条第3項の規定により、都道府県公安委員会が審査庁となる審査請求については、行政不服審査会等への諮問を要しないこととされています。
なお、警察庁では、都道府県公安委員会による審査請求の審理の公正性を高めるため、都道府県公安委員会の審理を補佐する職員について、当該審理の対象となる処分に関する手続に直接関与した職員以外の職員を選任すること等について都道府県警察を指導しています。

各都道府県公安委員会は独立組織であり国家公安委員会の下部組織ではない、そして上級行政庁がないとのこと。

各都道府県公安委員会が審査庁となることや諮問庁がないことに関してはもちろん法的根拠があると思っていましたがその具体的な条文が明らかとなりました。

結論

まず、交通規制標識の不当・違法性に関しては警察庁は直接には関与しないということ。そして、何ら公平性や客観性が担保されていない審査請求も現時点では適法。要するに

審査請求は茶番

各都道府県公安委員会は審査請求において「やりたい放題」、それが不満なら裁判で白黒はっきりさせるしかないということです。

しかし、不当・違法性を問うだけの行政訴訟では費用対効果が全く見合いません。私がクラファンを利用するために調べた範囲では弁護士報酬だけでも60万円ぐらいかかる見積りでした。対して得られる判決はベストでも「取締りは無効」、1円にもなりませんのでこれでは裁判をやる意味がありません。いや、あるにはありますが、、、。仮に勝訴してそのあとに新たに損害賠償請求を起こすことは可能ですが、そこで得られる金額は弁護士費用にすら達しないでしょう。

とある弁護士のTwitterを見たことがありますが「40万円未満の損害賠償請求事案だと弁護士を立てて裁判しても元が取れないので積極的に忘れて次に進むことも選択肢のひとつ」的なことを言われていました。

私としては、本件において工数はかけても費用はかけない範囲でやれることは全てやった感があります。残念ながら本件はここで転進するしかないと判断します。

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