
プロローグ:届いたのは「核心を避けたゼロ回答」
私がこれまで「宿泊税の使途の妥当性」と「課税の公平性」について突きつけてきた問いに対する、道側の公式な見解が届いた。



全て同じ担当部署なので3件まとめての回答になっていた。しかし、その内容は驚くべきものであった。
提供されたのは「原則的なルール」という行政側の理屈の羅列であり、現場で多大な事務負担と不公平な競争に耐えている私たちの切実な疑問に対し、何ら客観的な回答を示すものではなかった。
致命的問題(1):現場を馬鹿にした「アイロン・ドライヤー」補助
私が「小規模な民泊事業者のニーズが無視されている」と指摘したのに対し、道は補助金(観光地づくり加速化補助金)の活用例として、信じられないことに「アイロンやヘアドライヤー」を挙げてきた。
・問題の本質: 宿泊施設としてこれらは「自前で用意して当然」の基礎備品である。宿泊税という、観光の「高付加価値化」を目指す特別な財源を使い、わざわざ補助するような代物では断じてない。
・ニーズ把握の欠如: この回答こそが、道が民泊新法下で運営する小規模事業者の実態を一切把握しておらず、現場の声を1ミリも聞いていないことの動かぬ証拠である。
致命的問題(2):「事業者の声」という名の形骸化したアリバイ作り
道は回答の中で、アンケートや地域意見交換会を通じて「ニーズの把握を行った」と繰り返し強弁した。
・実態の乖離: 正規に届出を行い、日々業務に当たっている私(特別徴収義務者)の元には、これまで一度もニーズ調査も意見聴取も届いていない。
・組織の選別: 特定の団体や大規模施設のみを「事業者の声」とすり替え、私のような個別の正規事業者を実質的に排除した状態で「合意形成」を謳うのであれば、これは民主主義的なプロセスを無視した、単なるアリバイ作りに過ぎない。
致命的問題(3):一般財源からの「予算の付け替え」と財布の拡大
宿泊税は、既存の一般財源では対応できない「新たな価値創造」のための財源であるはず。しかし、示された数字は別の事実を物語っていた。
・異常な予算膨張: IT化支援等の補助金は、一般財源時代(令和5〜7年度)は年間約2億円規模であったが、宿泊税を充当した途端、約9.5億円(約4.7倍)へと急膨張している。
・行政コストの転嫁: 本来一般財源で行うべき標準的な観光施策を宿泊税に転嫁し、浮いた予算を他へ流用しているのではないか。この「財布の拡大」に対する具体的かつ合理的な説明はなかった。
致命的問題(4):KPI(成果指標)の放棄と無責任な予算執行
約3億円を投じる「観光情報基盤構築事業」や「親子モニターツアー」に対し、道は驚くべきことに
「数値目標(KPI)の設定は困難」
と回答してきた。
・ガバナンスの欠如: 巨額の公金を投じながら、その成果を「宿泊者数」や「消費額」で測定することを拒否し、「満足度」という曖昧な指標で誤魔化そうとしている。
・断固反対: 目的、手段、そしていつ誰がどうやって効果検証するのかも明確にされないまま進められる使途に対し、私は納税者として断固反対する。
致命的問題(5):不法業者を利する「構造的欠陥」の放置
最大の不条理は、不法業者(フリーライダー)への対策である。
・逆転現象: 道は「無許可営業者からは宿泊税を徴収できない」と認めながら、一方で宿泊税を投じて行うプロモーションの恩恵は不法業者にも無償で与えている。
・参政権なき重荷: 私は道外居住者であり、参政権(選挙権)がない。。それにもかかわらず、一方的に「徴収実務」という重い事務負担と責任だけを負わされ、その血税で不法業者がタダ乗りし、価格競争で有利になる現状を、道は「担当外」として放置している。
エピローグ:逃げ道を塞ぐ「再質問」を突きつけた
この不誠実極まりない回答に対し、私は直ちに再質問状を送付した。感情論ではなく、行政が最も嫌がる「客観的な数値」と「具体的根拠」を徹底的に要求している。
- 事業決定の根拠となったアンケートの有効回答数と属性内訳
- アイロン補助が「高付加価値化」に寄与すると判断した数値的基準
- 3億円事業の具体的KPIと事後検証の工程表
- 部局間連携による不法業者の「捕捉率」の数値目標
「選挙権がないから無視していい」という態度は、統治の根幹に関わる問題である。制度の正当性が確保されない限り、私は特別徴収義務者として、また一人の納税者として、この戦いを止めるつもりはない。


