
北海道の宿泊税導入に伴い、次々と公表される「活用事業」。しかし、その中身を精査すればするほど、制度の不透明さと不条理さが浮き彫りになっている。
先に発見した宿泊税活用事業として銘打った「親子モニターツアー」「観光地づくり加速化補助金」に関しては、既に道に問い合わせを送っている。


そして今回、新たな事業を見つけてしまった。

今回私が焦点を当てたのは、「観光マーケティング・情報発信セミナー(観光情報基盤構築事業)」である。
この事業に対しても、私は担当部署である経済部観光局観光振興課「観光未来づくり」に対して回答を求める詳細な質問を送付した。
巨額予算の「お勉強会」――それは本当に「新たな価値」か?
本セミナーを含む「観光情報基盤構築事業」には、約2億9,900万円もの宿泊税が投じられる。その内容は、人流データの活用報告やAI時代に対応した情報発信に関するセミナーの開催とのこと。しかし、こうした調査やセミナーは、宿泊税という「新たな目的税」を導入する前から、行政が一般財源で行うべき標準的な業務ではないのか?
私は道に対し、導入前後の予算推移を具体的数値で示すよう求めた。もし宿泊税を
「一般財源の穴埋め(付け替え)」
に使っているのであれば、それは納税者である宿泊客や、事務負担を強いられている我々事業者を欺く行為である。
さらに、この事業には致命的な欠陥があると考える。道は「生産性の向上」を掲げるが、「現場の民泊事業者が何に困っているか」という実態調査を一度も行っていない。当事者の声を聴かずして、なぜこの事業に必要性があると断定できるのか?
北海道宿泊税制度が抱える「構造的な闇」
今回の個別事業への疑義以上に深刻なのは、北海道宿泊税そのものが抱える極めて歪な構造的問題である。
「正直者が馬鹿を見る」――脱税状態の放置
徴収の仕組みそのものが、法令を遵守する正規事業者にとって著しく不公平なものとなっている。
- 不法業者の野放し: 海外プラットフォーム決済を悪用し、宿泊税を1円も納めず「実質的な脱税状態」で営業を続ける不法業者が多数存在している
- 行政の無策: 道の税務部局は、「不法業者に対して指導や立入調査を行う権限を有していない」と明言している。保健所等の対応も「情報の探知が難しい」として通報に依存した受動的な姿勢に終始しており、徴税側としての最低限の義務である「課税の公平性確保」が放棄されている
選挙権なき事業者への「強制」
道は、道外居住者で道政への参政権(選挙権)を持たない正規事業者に対し、「特別徴収義務者」として一方的に徴収実務を強制しているにもかかわらず、負担を強いる相手に意見を言う権利すら与えないこの構造は、民主主義の観点からも極めて傲慢である。
「受益と負担」の著しい不均衡
正規事業者が多大な手間をかけて集めた税金は、その負担者に還元されるのではなく、一部の事業者を潤すため、あるいは行政の「第2の財布」として使われている。
- 大規模施設への偏重: 補助金や支援策の多くは大規模施設向けであり、小規模な民泊事業者は恩恵を享受できず、実質的に排除されている
- 不法業者への利益還元: 今回のようなマーケティング事業が行われることで、税を1円も納めていない不法業者が、その成果(集客効果)を無償で享受する「フリーライダー(タダ乗り)」を許し、不当な競争環境を道自らが助長している
終わりに:1円の流用も許さない監視を
私は既に、これら3つの事業すべてについて道へ質問状を送った。
宿泊税は、行政が自由に使っていい金ではない。不法業者の排除という最低限の責任すら果たせないまま、現場のニーズを無視した事業に税金を費やすことを私は断じて許さない。
特別徴収義務者の当事者として
「本来の目的に沿わない使途には1円たりとも使わせない」
という厳しい監視の目を持ち続け、道の回答を待ちたい。
正直者が馬鹿を見る制度をこれ以上黙って見てはいられない。 回答が届き次第、またここで報告する。


