【パブコメ送信報告】豊島区の「民泊規制」が招く最悪の逆淘汰。なぜ行政はゴミ・騒音の真の元凶から目を背けるのか?

真面目に法律を守る正規事業者が廃業に追い込まれ、ルール無視の闇業者が大のさばりする街になる――。

豊島区が進める旅館業条例の改正案があまりに本末転倒だったため、一事業者の立場から怒りのパブコメを叩き込んでおいた。

今、観光地や都市部で問題になっている「民泊や簡易宿所のゴミ・騒音トラブル」。

「近隣住民が困っているなら、もっと厳しく規制すべきだ!」

SNSでの発信を見ても、そう思う人が多いと感じる。

そんな中、東京都豊島区が全国に先駆けて進めようとしている「旅館業法施行条例の改正素案(一律の有人常駐義務化や対面フロント必須化)」。

一見すると住民を守るための良い規制に見える気もするが、実は「真面目な優良事業者を全滅させ、ルールを無視する闇業者や悪質業者を大増殖させる」という、最悪のバグを抱えた制度案と思えるものであった。

私は豊島区民でもなければ豊島区で稼働している法人でもない。ただ、遠く北の大地で民泊新法に則り、近隣への配慮を徹底して運営している「正規の事業者」である。だからこそ、この間違ったルールが「悪しき先例」として全国に広がることを看過できなかった。そこで本日、豊島区へ怒りのパブリックコメント(意見書)を送信した。

今回は、この制度案がいかに「本末転倒」なのか、そのカラクリを事業者目線で徹底的に解剖する。

苦情の「真の元凶」はどこにいる?

周辺住民が頭を悩ませているゴミの不法投棄や騒音。その原因を作っているのは誰なのか?答えは明確である。

    • 無許可で営業を続ける「ヤミ民泊・不法業者」
    • 許可を得ていながら適切なゴミ処理契約を結ばず、苦情を無視し続ける「悪質な見かけ上の正規事業者」

    この2つである。

    ルールを守り、苦情があればすぐに駆けつけ、事業ごみとして適切に処理している大半の一般的な正規事業者は、継続的なトラブルの原因にはなっていないはずである。

    それなのに、豊島区がやろうとしているのは「ルールを守っている正規事業者に対し、さらに過酷な常駐コストや設備投資を強いる」という一律の規制強化であった。

    規制を強めると、なぜ「闇業者」がのさばるのか?(逆淘汰のメカニズム)

    ここが一番のポイントである。一律の厳しいルールを作ると、市場では以下のような「最悪のシナリオ」が起こる。

      • 優良な正規事業者が廃業する
        「有人常駐」や「フロント設置」といった重いコストに耐えられない、真面目な小規模事業者から順に廃業へ追い込まれる
      • ルール無視の「闇業者」が大増殖する
        真面目な宿が消えても、旅行者の需要は消えない。行き場を失った需要の受け皿になるのは、最初から行政のルールなんて1ミリも守る気のない「ヤミ民泊・不法業者」である
      • 「見かけ上の悪質業者」だけが生き残る
        「書類上だけ常駐を装う」「形だけのフロントを置く」といった、ごまかしが上手な悪質事業者は、真面目な競合が消えたことで、さらに不当に儲かり、のさばり続ける

      つまり、「ルールを守る者だけが損をして消え、ルールを破る者が大儲けする天国」を行政が自ら作り出そうとしているのである。これのどこが「住民の生活環境を守るため」の改正なのか。

      本当の元凶は、既存ルールを実行しない「行政の怠慢」である

      そもそも、新しいルールを作らずとも、不法業者は現行法で十分取り締まれる。また、「見かけ上の正規事業者」に営業許可を出しているのは、他ならぬ豊島区自身である。

      ゴミの不法投棄が起きているなら、ゴミ集積所を監視し、警察と連携して不法投棄(犯罪)を行っている闇業者を徹底的に特定・摘発すればいい。ルールを守らない悪質事業者がいるなら、既存の権限を使って「業務改善命令」や「指導」を行えばいい。

        それらの「自らが出した許可物件の監督」や「違法者の取り締まり」という、行政としての本来の仕事を怠ったまま、新しいルールを上乗せして民間事業者にツケを回す姿勢は、あまりにも不誠実である。

        「本来やるべきこと」をパブコメで叩き込んできた

        ルール遵守の事業者を潰し、不法業者を利するだけの「本末転倒な規制」。そして自らの役割を放棄した行政の怠慢。この山積する問題点に対し、一人の正規事業者として黙っているわけにはいかなかった。
        そこで私は本日、豊島区が「今本当にやるべきこと」をロジックで詰め込んだ意見書をパブリックコメントとして正式に提出した。

        私がパブコメで強く主張したのは、主に以下の3点である。

        1. まず行政自身が不法業者を取り締まり、既存の悪質業者を指導すること(自らの許可責任・執行責任を果たすのがすべての前提である)
        2. ICTを活用した「遠隔監視・迅速な駆け付け体制」を持つ優良な事業者への常駐義務・フロント義務を一律撤回すること
        3. すでに適正に営業している事業者に対し、経営を破綻させる「後出しルール(法の遡及適用)」を一切行わないこと

        さらに、感情論ではなく「制度設計のプロ」として行政があるべき姿勢についても、厳しくクギを刺しておいた。

        行政に「いつまでに、どう解決するのか」の定義を求める

        行政が新たな条例を導入して民間に多大なコストを課すのであれば、「いつまでに、どうやって問題を解決するのか」を明確に説明する義務がある。

        「なんとなく厳しくすれば良くなるだろう」で作ったルールは、効果の検証もされないまま、ただ真面目な事業者を苦しめるだけの「遺物」になるのは明白。だからこそ、今回のパブコメでは以下の要求も突きつけておいた。

          新制度案を導入する前に、現状の苦情の『本当の原因』を科学的に究明し、公表すること。そして、もし新ルールを導入するなら『いつまでに苦情を何%削減するのか』というロードマップと測定指標(KPI)を明確に定義し、効果がなければ速やかにその規制を撤廃・再改正すること

          ここまで定義して初めて、責任ある行政と言えると捉えている。

          最後に、豊島区においては、正しい解決策で「全国のモデル」になって欲しいと願っている。率先して課題解決に動く豊島区の姿勢自体は素晴らしい行動力だと思う。だからこそ、「間違った解決策」ではなく、先進技術(ICTでの遠隔監視や迅速な駆け付け体制)を活用しつつ、違法者を毅然と取り締まる「正しい解決策」を全国に示して欲しいのである。

          業界を、そして観光大国としての日本の未来を「不条理な後出しルール」で潰さないために。
          今後もこの動向を注視し、一人の正規事業者として声を上げ続けていく。

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