
2026年6月16日、民泊界隈に激震が走るニュースが飛び込んできた。
「観光庁、民泊の営業を自治体の条例で事実上『禁止(0日営業)』にできる方針を固める」
というものだ。
観光立国を掲げ、宿泊施設不足の切り札として民泊を推進してきた国が、ここへ来て手のひらを返した。一見、オーバーツーリズムや居住環境悪化へのスピード感ある対応に見えるかもしれない。だが、現場で血にまみれて投資を行っている正規の届出事業者からすれば、これは怒りを通り越して呆れる他ない、あまりにもピントの外れた「最悪の後出しジャンケン」である。
なぜなら行政は、トラブルの根本原因から目を背け、ただ「仕事をしてるアピール」のために真面目な事業者を犠牲にしようとしているからだ。
今回の規制強化に私が最も憤っている理由
今回の「0日容認」において、私がもっとも断罪したい行政の欺瞞はここにある。
コントロール可能な正規事業者を条例で「0日」にして一律に締め付け、法を無視して脱税を決め込む闇業者は野放し
トラブルの多数である闇民泊を減らす努力をせず、叩きやすい正規事業者だけを狙い撃ちにする。この的外れなパフォーマンスの犠牲に、なぜ真面目な納税者がならなければならないのか。
確かに、民泊における騒音やゴミ投棄といったトラブルは無視できない。正規の届出物件であっても、一定数マナーの悪いゲスト(民度の低い利用者)が紛れ込み、近隣に迷惑をかけてしまう事例があるのは事実だ。
しかし、冷静に現状を分析してほしい。今、世間で問題視されている民泊トラブルの大半は、単に『ゲストの民度』の問題ではなく、その裏にある
『闇業者 × 行政のずさんな管理』という最悪の掛け算
が原因だ。
正規事業者は180日規制を遵守し、宿泊者名簿を厳格に管理し、2026年4月からは新たに導入された「宿泊税」まで適正に納めている。トラブルを起こして近隣からの苦情が行政に届き、届出番号を取り消されれば数百万、数千万の投資が一瞬で水泡に帰す。だからこそ、カメラの設置や夜間の注意喚起など、プロとして必死にトラブルを「コントロール」するインセンティブ(強制力)が働いている。
トラブルの真因は「無届の闇業者」と「管理を放棄した一部の正規事業者」
本当に手が付けられないのは、最初から法を完全に無視している「無届の闇民泊」だ。
その最たる動かぬ証拠が、メディアでも連日報じられている東京の「晴海フラッグ」の惨状である。晴海フラッグに関しては、分譲前の段階から「民泊全面禁止」であることが契約者に対して明確に案内されていたはずだ。それにもかかわらず、ルールを無視した大量の闇民泊が横行し、違法な白タクがたむろして住民への暴言や不法駐車が多発している。
そしてこれは、何も晴海フラッグに限った特殊な話ではない。日本全国にある多くの分譲マンションにおいても、管理規約によって最初から民泊が「禁止」されているケースが大多数だ。
つまり彼らは、マンションの全住民が共有するルールを百も承知で、それを公然と踏みにじり、確信犯として違法営業を強行している。最初から存在しないことになっている隠れ家(アジト)だから、オートロックのセキュリティは破られ、見知らぬ外国人が日常的に出入りし、近隣住民がいくら騒音やゴミに迷惑を被ってもオーナーへの連絡すら取れず、改善のしようがない。
しかし、問題は闇業者だけではない。正規に届出を出して開業していながら、騒音やゴミ問題を放置し、近隣対策などの管理を完全に放棄している不届きな事業者がいるのもまた、紛れもない事実だ。
その結果、とうとう東京都豊島区において、管理不十分な住宅宿泊事業者に対して「業務停止命令」が出される事態にまで発展した。ルールを守らない闇業者だけでなく、ルールを守る気がハナからない一部の悪質な正規事業者のせいで、民泊全体のイメージが失墜し、真面目に運営している事業者にまで規制強化のトバッチリが来ている。これが現場のリアルだ。
このように、稀に行政が処分を下すケースもあるが、これは全国で頻発しているトラブルの規模から見れば、ほんの数少ない一例、すなわち「氷山の一角」に過ぎない。
大部分の自治体における根底のスタンスは、依然として「完全な通報待ち」というずさんなものだ。これが私の邪推や空想でないことは、私が実際に北海道、および旭川市へ直接確認を入れ、担当者から引き出した回答が証明している。私が違法民泊の取り締まりや実態調査について北海道と旭川市に確認した際、行政側の回答は「基本的には通報ベースでの対応になる」というものだった。
自治体自らが「通報がなければ動かない(行政側から能動的な調査やパトロールはしない)」と公式に認めているのだ。これでは、ルールを無視して地下に潜り込んでいる闇業者や、管理を放棄して近隣に迷惑をかけ続けている悪質物件がどれだけ街に潜んでいようが、誰かが限界を迎えて通報してこない限り、行政は実態すら把握できない。
さらに、このずさんさは「税金」にまで及んでいる。
2026年4月、北海道と旭川市では「宿泊税」が新たに導入された。私たち正規事業者は、追加の事務負担を背負いながら、1円の漏れもなく適正に宿泊税を徴収し、納税している。しかし、行政が「通報ベース」でしか動かないということは、見つかっていない闇業者に対して「民泊新法違反」だけでなく「宿泊税の脱税」までも事実上黙認・見逃していることに等しい。真面目な納税者にだけ負担を強いて、違法と脱税の温床を放置する。これほどずさんで、公平性を欠いた「行政の不作為」が他にあるだろうか。
現在の民泊トラブルの本質は、単に『ゲストの民度』の問題ではない。「違法を決め込む闇業者」や「管理を放棄した悪質事業者」、そして「それらを能動的に取り締まろうとしない行政のずさんさ(不作為)」が引き起こしている完全な人災なのだ。
要するに、行政は「身元が割れていて、ルールを守っている、叩きやすい正規事業者」の首だけを条例で一律に絞め、本当にメスを入れるべき「闇業者」や「個別の悪質事業者」の摘発は面倒だからと後回しにしているのだ。
現場のトラブルの真因から目を背け、コントロールしやすい正規事業者全体を狙い撃ちにして一律に「0日営業(全面禁止)」へと追い込む。この的外れなパフォーマンスの犠牲に、なぜ真面目な納税者がならなければならないのだろうか。
法律なら「既存不適格」で守られるはずの権利すら脅かされる
不動産投資をはじめ、あらゆるビジネスにおいて「規制強化」は最大のリスクだ。しかし、通常の法律改正であれば、そこには「法の不遡及」や「既存不適格」という大原則がある。新法ができる前に正規の許可を取って営業していた者の権利は、一定数守られるのが近代国家のルールだ。
しかし、民泊新法(住宅宿泊事業法)は「許可」ではなく、あくまで「届出」という歪んだ構造をしている。そのため、自治体が「明日からこのエリアは0日制限(全面禁止)にする」と条例を変えれば、すでに多額の初期投資をし、正規に営業している既存の事業者であっても、後出しで一発退場させられかねない。
真面目にルールに従った者が真っ先に損を被る。これが観光庁の言う「観光立国」の正体なのか。
私はすでに動いている:北海道・旭川市議会への陳情
私はこれまで、この行政の「狙い撃ち」と「不作為」に対してただ指をくわえて見ていたわけではない。私の主戦場である北海道、および旭川市に対して、すでに具体的なアクションを起こしてきた。
宿泊税の不公平性と行政の怠慢という矛盾を突くロジックを組み立て、私は北海道、および旭川市議会に対して正式に「陳情」を提出した。
地方議会において、個人の陳情など多くは「回覧(議員にコピーを配って終わり)」で処理されるのが冷酷な現実だ。道議会ではその壁を実感した。しかし、旭川市議会においては、私の陳情が正式に「受理」され、さらに踏み込んで「委員会付託(正式な議題としての審議入り)」にまでこぎ着けている。
委員会に上がった以上、観光・税務担当の局長・課長クラスは、議員からの追及に対して議場で公式に答弁しなければならない。「通報がないから動けません」というマヌケな言い訳が通用しない舞台を、私はすでにセットしてある。真面目な事業者を狙い撃ちにする一方で、闇業者の脱税を放置する行政の「ずさんさ」への包囲網は、着実に狭まっているのだ。ただし、結果にははなから期待していないのも事実である。
北海道・旭川市の「冷徹なデータと現実」
私は現在、東京都内に住みながら、システムによる効率化を図り旭川市で賃貸民泊を運営している。このニュースを受けて、改めて現地の客観的な市場構造を整理してみた。
旭川市は、北海道内では札幌に次ぐ民泊数2番手の街だ。しかし、物件の絶対数は札幌と比べて1桁少ない。旭山動物園や美瑛・富良野へのアクセス拠点、さらに大雪山のスキー需要など、国内外から観光客が押し寄せているにもかかわらず、宿泊インフラのキャパシティが圧倒的に限られているのがこのエリアの構造的な特徴だ。
そして重要なのは、現行の北海道条例における「エリアごとのルール」である。 現在、平日営業が一律に制限されているのは、純粋な「住宅地(第1種低層住居専用地域など)」や学校の周辺のみだ。私が物件を構える「近隣商業地域」や「商業地域」は、最初から平日制限の対象外となっている。
そもそも商業地域とは、行政が「ここは商売(ビジネス)をするためのエリアです」と指定した場所だ。
「静かに暮らすための住宅地」であれば、住民の生活環境を守るために「営業日数0日(全面禁止)」という規制をかける大義名分は立つ。しかし、最初から商売をするために用意された商業地域において「居住環境が壊れるから一律で0日にする」という理屈は、お役所の論理(法解釈)としてもめちゃくちゃであり、自治体がそこまで踏み込んだ過激な条例を作ることは極めて現実的ではないと考える。
お上の理不尽に対して、私が打つべき「次の一手」
行政の的外れな規制強化の動きに狼狽してビジネスの手を止める時間は無駄だ。事業主である以上、私はこの理不尽なルール変更の空気すら前提とした上で次の一手を淡々と打っていく。
まず、国がパブリックコメント(意見公募)をスキップして今月末に自治体へ通知を出したとしても、実際に自治体が条例を変えるには、地方レベルでのパブコメや議会審議が必須となる。自治体がWEBに情報を載せたその瞬間、1秒のタイムラグもなく検知できるよう、私はすでに北海道と旭川市のパブリックコメント一覧ページをツールで24時間自動監視する網を張った。不意打ちの後出しジャンケンは絶対に許さない。
正式な議題として上がっている旭川市議会の委員会動向を注視しつつ、私は外野のノイズを気にすることなく今後も粛々と事業を拡大していく。ただし、物件選定の条件はこれまで以上にシビアに、冷徹に絞り込む。
今回の「0日容認」というお上の刃が、行政の論理(都市計画の主旨)から考えても極めて届きにくいエリア、すなわち「商業地域」「近隣商業地域」、さらには「準工業地域」といった、居住専用ではない、ビジネスや業務利便のためのエリアに対象を厳格に限定し、次なる仕込みを進めるだけだ。
ルールを破る闇業者と、取り締まる対象を間違える的外れな行政。その混沌とした市場の隙間で、私は最も規制リスクの低い防衛陣地(商業系・工業系エリアの正規物件)を迅速に拡大し、インバウンドの利益を冷徹に刈り取っていく。


